早くも熊本地震の前震・本震から2ヶ月が過ぎました。
地震後は寸断された道路が多く、とくに熊本市方面から阿蘇方面へむかう道路はほとんど通行止めでした。そうしたなか、被害規模が小さい主要道路から少しずつ復旧しています。
しかし、「布田川断層帯」付近を通っていた【国道57号線】や「JR豊肥線」は、外輪山崩壊によって大きく寸断され、2ヶ月経った現在でも復旧のメド〔新しい国道57号線ルート計画公表されました《2016年6月27日更新》〕はたっていません。
【国道57号線】は、熊本市方面と阿蘇市(大分)・南阿蘇村をつなぐ主要道路。ここが通行止めであるため、迂回路を経由しないと各目的地へアクセスできません。この迂回路は渋滞が慢性的に発生。移動時間は以前の2倍程度かかり、流通の効率はかなり悪化しています。
とくに南阿蘇村と高森町へのアクセスは、かなり遠回りになるため、通勤通学それと観光誘致に厳しい状況です。
俵山周辺の県道復旧は?
南阿蘇方面へ効率よくアクセスするには【県道28号線・俵山パイパス】ルートを利用したいところですが、こちらも地震断層の影響を大きく受け全面通行止めです。[俵山トンネル・バイパスの被害・迂回路について]
私も南阿蘇へ向かうときには俵山バイパスを利用する事が多かったので、こちらのルート復旧はすごく気になるところです。ということで、現地の状況を確認するために自転車で向かいました。
俵山へ向かう途中のローカル道では、地震で落ちて来た大岩が道路周辺のあちこちに。落石によって道路や木がえぐられており「乗っているときに落石を受けてたら…」と思うと背筋が寒くなります。
俵山の麓には、断層に沿って大被害をうけている西原村があります。こちらでは急ピッチで仮設住宅の建設が進んでいます。
阿蘇西原村・大切畑ダム周辺
俵山へつづく【県道28号線・俵山バイパス】は路面がボロボロに崩壊している箇所が多い。県道を迂回するために脇道に入っても、その道路も寸断している。もっと遠回りする迂回路を通る必要があります。
【県道28号線】を下の農道から見上げる。山の稜線の手前に県道が通っていますが、この辺りは損壊がかなり激しい。まだ復旧するための重機が動いているようすはない。
手前の田畑のある斜面や畦は地震の影響で崩壊している。
農道を俵山へむかいつつ上って行くと大切畑ダムの前に架かる陸橋『大切畑大橋』がある。
橋は地震に堪えましたが橋の両端とつながった道路と大きな段差が生じており通行できません。画像では右端に見えるのが橋のつなぎ目部分です。
橋全体が左方向に大きくズレているのが確認できます。
そのほか、橋の向こう側にある斜面(旧道がある)が大きく崩れており、斜面にも何かしらの対策が必要でしょう。この日は、橋の上には作業員が数名歩いて何らかの作業中でした。
農道の脇道にパワーショベルが入って作業してます。作業路の整備でしょうか。
農道から多くの家屋が倒壊している地区を通過して、俵山の麓にある『俵山交流館萌の里』をめざす。
俵山・お池さん
途中「お池さん」の呼び名で親しまれている『揺ヶ池(ゆるぎがいけ)』湧水地へ立ち寄る。水源は阿蘇伏流水です。[所在地:阿蘇郡西原村小森]
そばの神社は地震の影響はとくに受けていないようですが、灯籠と絵馬掛けは倒れています。
湧水源をのぞいてみると、いつも澄んでいるはずの湧水が濁っています。過去にも南阿蘇方面の地震で水が濁るという情報があり、しばらく頻発している余震と関係しているのかもしれません。
萌の里周辺
平日でも駐車場が埋まるほど賑わいをみせていた萌の里ですが、表通りの【県道28号線】は、上下線とも交通が断たれているため車輛の往来はほぼない。
交流館の付近には整備された公園と俵山へ続く広大な草原があります。震災前は公園や草原で遊びくつろぐ人々の姿がありました。
萌の里付近にある花畑には、満開の時期をとうに過ぎたポビーが寂しげに残っている。
画像は2015年撮影のもの。毎年鮮やかな花が目を楽しませてくれましたが、今年は観光客にお披露目する事は叶いませんでした。
俵山バイパスの復旧
さて、俵山へ向かう【県道28号線】、萌の里からすこし上ったところで通行止め。
路面も、これだけ崩壊している部分が長い区間にわたって多数箇所あり、俵山トンネルは内壁崩落に路面のズレや崩壊など深刻な状況。被害が甚大であるため短期間の修復は難しい。まだ、この辺りは手つかずの状態。
反転して萌の里から下ったとこにある観光商業地区へむかう。そちら周辺には『山田牧場 ミルクの里』のほか飲食店が県道に面して集まっていますが全て休業中。
そこから少し下ると、大切畑ダム周辺へ到着。この先にさきほど農道から見上げていた橋があります。この辺りには工事関係者や車輛が何台か停車。路面の割れなどが確認できます。
ここの通行止めのおもな原因である『大切畑大橋』の道路アプローチ部分のズレを修復できれば、とりあえず『萌の里』および観光商業地区へのアクセスが可能になります。
しかし、橋全体が同じ方向へ動いている原因が「橋」にあるのか「地表」にあるのかによって、修復にかかる時間も違うと思います。
俵山パイパスの全面復旧には、まだ相当な時間を必要としますが、「萌の里」あたりを復興のひとつとして、部分的ですが【県道28号線】の早期復旧を希望しています。ふたたび周辺地域や草原で俵山の自然を楽しんでもらいたいですね。
俵山バイパス復旧決定
『国土交通省・九州地方整備局』より、俵山トンネルルートの復旧計画が発表されました。《更新:2016年6月28日》