復旧 開通日いつ[国道57号 北側復旧ルート]

【熊本地震】国道57号・被災不通ルート《復旧計画》

復旧 開通日いつ[国道57号 北側復旧ルート]

国道57号線は熊本市方面と阿蘇方面をむすぶ主要道路。また、その延長線上の大分とも流通・観光の重要ルートでもあります。

しかし「平成28年(2016年)熊本地震」によって【国道57号線】は南阿蘇村立野付近で幅200メートル、長さ700メートルにわたる大規模土砂崩れで寸断。復旧工事を検討するも、一帯は火山灰地質で地盤は崩れやすく工事計画は難航。この厳しい状況にたいして、国土交通相は新しいルートによる構想を明らかにしました。

また、近年になって復旧・新規工事の進歩状況から、おおむねの復旧開通時期のめどがたっています。以下が各ルートの工事完了時期です。

【新阿蘇大橋・国道57号:復旧開通】
2016年 熊本地震によって崩落した『阿蘇大橋』が『新阿蘇大橋』として 2021年3月7日 に完成開通。また、外輪山斜面崩落で不通となっていた『国道57号』阿蘇立野と、阿蘇外輪山トンネルを抜ける国道57号北側復旧ルートは 2020年10月3日 に復旧・開通しました。

復旧した道路復旧開通日
国道57号 北側復旧ルート(新規)2020年10月3日
国道57号(崩落寸断した現道)2020年10月3日
新阿蘇大橋(新規)2021年3月7日
阿蘇長陽大橋2017年8月27日
俵山トンネルルート2016年12月24日
JR 豊肥線[肥後大津〜阿蘇]2020年8月8日
南阿蘇鉄道[立野〜高森]2023年7月15日
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代替 国道57号 北側復旧ルート

国道57号 北側復旧ルート[熊本地震 震災 復旧]

『国道57号線新ルート』は、寸断している立野地区より北側の阿蘇外輪山を通す計画。ルートは大津町東部から阿蘇市西部を終起点とする全長約13キロメートルで、外輪山の二重峠付近を通過させるため約4キロメートルはトンネル区間になる予定。
新しい国道57号線・北側外輪山ルート
通常このような規模の大きい工事は、地質調査と測量設計などの行程に時間が掛かってしまいます。ところが、新ルートを検討している地域は、以前「阿蘇大津道路」を計画していたため、付近の地質データは揃っており、技術的な情報も活用できる可能性があるようです。

また、新ルート整備事業では『ECI(アーリー・コントラクター・インボルブメント)方式』の採用を検討しています。この方式は、設計の段階から施工者の工法提案などの技術協力を受けるため、施工・設計変更などのリスクが少なくなり、工期短縮が可能になる方法です。

しかし、以上2点のメリットを活かしたとしても工事期間は数年を必要とするため、まだ楽観的にはなれません。なぜなら、現在の迂回路はすべて標高の高い外輪山を越えるルートであるため、冬季の道路凍結や積雪による通行止めのリスクがあります。冬の迂回路対策は短期間では難しく今年は大きな問題になりそうです。
国道57号線新ルート(大津引水〜阿蘇赤水)〈2016-0707更新〉
新ルート情報が追加されました。

新しい国道57号線の起点は「道の駅 大津」から程近い『ミルクロード入口交差点[大津町]』から北へ【県道339号線】に沿うように進入。道路はそのまま北へ延びながら大津町高尾野の集落を横切り600メートルほど北進。そこから右方向へカーブしながら『熊本中核工業団地』の北側付近を通過。北側外輪山の標高400メートル付近でトンネルへ入り、外輪山中腹のトンネル区間を約4000メートル走行。

トンネル向こう側は阿蘇市赤水の標高低めの場所で、農耕地帯と【県道23号線】を横切ります。また赤水市街地で渋滞を起こさないように『大阿蘇環境センター』の北側を回り込む形で現国道57号線と接続します。

詳細な経路および完成時期の見通しは、用地買収が進んだ後に公表するとしています。

国道57号 北側復旧ルート《アクセスマップ》




寸断した国道57号(現道)

国道57号(現道)[熊本地震 震災 復旧]
新しい代替ルートが提案されたからといって、立野地区で寸断された現在の国道ルートが放棄されることは無く、阿蘇へアクセスできる主要道路のひとつとして復旧させる計画です。ただ、現国道57号線の斜面崩落の大きさと、今後の災害発生リスクを考えると、従来の4斜線として復旧させるのは難しいようで、車線をへらす方向で検討しています。

【熊本地震】阿蘇アクセス道路情報(通行止め・迂回路)

阿蘇大橋

阿蘇大橋[熊本地震 震災 復旧]
崩落した『阿蘇大橋』は、新たな架ける場所の代替候補地を探しています。
ただ、新しい国道57号線との接続部分の兼ね合いがあるため、候補地の選定は新ルート計画と同時進行になりそうです。
新阿蘇大橋架橋場所[南阿蘇村・国道325号線
国土交通省九州地方整備局は「新しい阿蘇大橋」の建設場所を崩落した阿蘇大橋の場所から600メートル下流に決定。これで南阿蘇村【国道325号線】へのアクセスが容易になります。

元の橋は全長約200メートルでしたが、新しく架け替える場所は両岸の距離が広がるため、長さは600〜700メートルほどと約3倍。また、川底からの高さは100メートルとなり、従来より約20メートル高くなる予定。

新しい阿蘇大橋は、崩落した旧橋の「アーチ形式」ではなく、短期工期と耐震と安全性を考慮して『PC 3径間連続ラーメン箱桁橋(PCラーメン橋)』に決定。PCは(プレストレスト・コンクリート)。

橋の設計仕様を『PCラーメン橋』にした理由の一つには、長陽大橋が、断層付近の強い地震に耐え倒壊しなかったことが大きいでしょう。

新阿蘇大橋 ヨ・ミュール《展望所 駐車場》




阿蘇長陽大橋

阿蘇長陽大橋[熊本地震 震災 復旧]
阿蘇大橋が架かっていた同じ南阿蘇村地区にある『阿蘇長陽大橋』は、橋そのものは熊本地震に耐えて現存していますが、橋へ繋がるルート周辺が大きく崩壊しているため全く使えない状態です。

復旧は熊本県知事の要請により、国が直轄代行として取り組んでいますが、現在は破損状況を調査中。

俵山トンネルルート

俵山トンネルルート[熊本地震 震災 復旧]
熊本市・西原村〜南阿蘇をつなぐルート【俵山バイパス・県道28号線】は、俵山トンネル、5つの架橋、山間部の路面に甚大な損傷をうけています。

こちらの被災も大規模かつ特殊であるため、復旧にあたっては行政と専門家のプロジェクトチームを設けて、損傷状況調査や復旧工法の検討を行っています。

以上のように、各所の現状を確認していくと、震災の規模からしても復旧に相当の年月を必要とすることが分かりました。まだまだ復興への道のりは長いです。

『国土交通省・九州地方整備局』より、俵山トンネルルートの復旧計画が発表されました。