今日は、阿蘇草千里ヶ浜で実施された野焼きを見学するために阿蘇山入りしました。
阿蘇一帯で毎年行われる通常の野焼きであれば、気合いを入れて見に行くことは少ないのですが、草千里の野焼きは約50年振りと、私が生まれて初めての実施される野焼きです。この機会を逃すと次回はいつ見れるのか分らないため、興味と期待を胸に現地入りしました。
草千里とは
『草千里(くさせんり)』は烏帽子岳の側火山として活動した千里ヶ浜火山の火口跡。
千里ヶ浜は浅い二重の火口で直径約1キロメートルに達します。内側の火口は草千里の東側凹地で、南北に約500メートル、東西に約250メートルの楕円形をしています。
草千里中央の小高い丘は「駒立」といい、内側火口の縁の一部です。
草千里一体は、芝生のような草地になっていますが、これは昔から放牧地として利用され、牛や馬が長くなる草を食べ続けているからです。
春頃に麓に放たれた牛馬は、夏になると涼しさと草を求めて高い標高に上がってきます。そして、秋頃の冷たくなる頃には飼い主に連れられて帰っていきます。この雄大な自然の中で牛馬がノビノビと生きていく姿は、そのまま阿蘇の風物詩のひとつとなっています。
野焼きの理由
約半世紀ぶりに野焼きが行われる理由は、草千里の草を牛馬が食べなくなったことが要因です。
実は、近年流行した畜産の病気「口蹄疫(こうていえき)」をきっかけに放牧が中止しました。とくに草千里は多くの人が立ち入るため、感染のリスクが非常に高く草を食べさせることができなくなりました。
このように牛が伸びた草を食べることがなくなったため、草が伸びて一部が低木化するなど荒廃が始まっていました。
このまま放置してしまうと景観が損なわれるため、このたび野焼きを再開することになりました。
野焼き当日
草千里の野焼きは天候不順で2度延期されていました。そして三度めの日程として27日が選ばれたのですが、当日と前日の天候も微妙で、阿蘇周辺の所々では小雨や雪が降っていました。ここで降ってしまうと延期ですが、野焼き開始時刻の13時が迫ってくる頃には晴れ間が空に見えるようになりました。
そして、13時過ぎに半世紀ぶりの野焼きが始まりました。上の画像は東側、後方に阿蘇噴火口が見えます。
着火は東西双方からほぼ同時に行われ、各所で火の手が上がります。
西側方面は、草の低木化が進んでいたため、かなり勢いよく燃えて黒煙があがる。
東西側に気を取られていると中央部あたりでも着火がはじまりました。
空には報道系のヘリコプターが何機も旋回中。
そうこうしているうちに東側は焼き上がり完了が近付く。
野焼き情報は各メディアで伝えられていましたが、草千里駐車場の駐車車両数は予想ほど多くなく、駐車枠の余裕は有るようです。
中央部の延焼も順調で、草千里中央の小高い丘「駒立」も次第に黒くなってきています。
西側の池周辺もかなり進んでいます。
それにしても写真愛好家が多かった。観光客の人達も色んなカメラで撮影中。この日この場所で何枚の写真が撮られたことでしょう。
歴史的な野焼きは、おおよそ50分ほどで完了。草千里が一面漆黒になるのかと思っていましたが、ホルスタイン乳牛のような”まだら模様“の仕上がりです。
さあ、明日の日曜日は「米塚」周辺を含む野焼きです。ベージュ色が漆黒になるのか楽しみです。